前歯の治療:よくある悩み 症例解説
前歯治療:よくある前歯の悩み解決法15症例で解説
前歯の治療について、よくある悩みを症例をもとに(原因・治療のポイント・できる事・できない事)説明します。
前歯治療のポイント!
前歯の治療は何度もやり返しはききませんし、やり返しすべきことではありません。。再治療となれば少なからずも歯を削りますし、必ず歯に負担がかかります。一回の根管治療や一回の修復治療や一回のクラウン、ブリッジが勝負となります。しっかりとした治療計画を立て、しっかりとした材料を用いて、より丁寧な治療が求められます。 前歯の悩みを解決していくには、多種多様な治療手段(治療の基本である根管治療から歯周治療から骨造成や歯肉移植、抜歯窩保存術、エクストルージョン、クラウンレングスニング・歯肉切除、破折歯の接着など)が必要です。それらは、正確な診査・診断があって(近年におていは、歯科用CTやマイクロスコープがその点を手助けしてくれています)初めていかされますです。 そして、正しい診査診断から、治療手段と材料を適材適所に使っていく治療計画が前歯の治療には大切です。治療計画は立案は、、歯科医師の知識と技術と経験が問われるところです。 どういった治療が自分にベストなのかは、一人で悩まず、治療オプションを多く持った、知識と経験のである歯科医師にご相談ください。
当院ではメール相談も受付ております。(メール相談では治療の診断はしておりません、治療概要としての質問にお答えしております)
悩み1:前歯に虫歯が見た目が気になる
治療のポイント
前歯にできた小範囲の虫歯はコンポジットレジンという樹脂で修復します。コンポジットレジン修復は治療回数も1回で終わります。コンポジットレジン修復の欠点は着色変色しやすい事です。そのため、治療のポイントはなるべく削る量を少なくして、むやみに修復範囲を広げない事です。歯と歯の間の修復などは裏側からアプローチして、表面を削らないような工夫します。
また、コンポジットレジン修復から数年経つと歯とレジンの境が着色する事があります。これは、歯とレジンの弾性が異なる事が原因でレジン修復の宿命でもあり限界でもあります。それゆえ、広範囲の虫歯にはコンポジットレジン修復は得意としません。
悩み2:前歯の隙間が見た目が気になる
治療のポイント
前歯にできた隙間をコンポジットレジンという樹脂を用いて隙間を埋める事ができます。コンポジットレジン修復は健康保険適応で治療回数も1回で終わります。コンポジットレジン修復は着色変色しやすいのが永続性には若干不安が残りますが、歯を削る事なく再修復も可能です。形態を変える事で清掃性が落ちるので、日常のブラッシングとメンテナンスクリーニングが必要になります。
悩み3:差し歯の付け根の黒ずみが気になる
治療のポイント
歯根の変色をしっかり隠せて、明るい色調を表現できるセラミックフレームマテリアルを選択する必要があります。変色を隠しながらも暗くならない、フレームマテリアル(現在であればジルコニアフレーム)を選択する事で透過性があり、明るい自然なクラウンが製作できます。
セラミックの境を歯肉下に深く設定する事で、根元の黒ずみ露出を防止できます。 気を付けたいのがセラミッククラウンセット後、その歯のブラッシングは弱圧で短いストロークで行って下さい。歯肉の退縮を防止します。
悩み4:神経をとった前歯の変色が気になる
治療のポイント
変色を治すにはインターナルブリーチという、内側からの漂白するか、歯を削りセラミッククラウンにて綺麗にするか、どちらかの方法になります。 インターナルブリーチのポイントは根管治療をきちんと行い、漂白薬剤が根管部に流れないようにコントロールする必要があります。それと、漂白後その歯が折れたり割れたりしないように、ファイバーなどを用いて補強する事が大切です。それでも、薄い歯は折れたり、割れたりしやすいので、そうなる前にいつかどこかでセラミッククラウンでの修復をお勧めします。 セラミック修復の技術は歯科医師はもちろん、それを造る歯科技工士の技術も問われます。前歯修復は審美性と機能性と永続性が大切です。
悩み5:神経のない歯の変色をセラミッククラウンで治したい
1、術前の状態 左上前歯の変色を主訴に来院。上顎前歯2本の神経がなく変色を起こしていて、左上前歯の歯肉からは排膿も認められた。2本共に歯が削られていて、歯の長さが短く、形態不良でもあった。笑顔時においても、口元との調和が取れていない。
2、まずは感染根管治療を行う。感染根管治療がうまくいっているのを経過観察で確認して、その後ファイバーポストで歯質の強化を行う。
3、術中の写真。 仮歯を装着して、顔貌と口唇にあった歯の形態を模索する。
4、術後の状態
前歯2本をジルコニアセラミックスで修復。その他の歯はホワイトニングを行っている。
5、術前術後の比較写真 左が術前、右が術後。
前歯2本の修復とホワイトニングだけで笑顔の表情が全く変わる。
治療のポイント
セラミッククラウンの長期的成功を考えると、治療の基本となる感染根管治療はセラミック修復していく上ではとても大切です。そして、ファイバーポストをしっかり適切な長さだけ装着して機械的強度を上げていく事は歯の破折を防止する上で大切です。(ポストが短すぎたり、不適切であれば、すれば歯の破折を招く恐れもあります。)
セラミッククラウンは色調、形態はその人、個人のお顔や唇に調和を持たせる事がポイントです。例えば形態の丸みを強調すれば女性的な優しさを表現できます。角を強調した形を付与すれば男性らしい、力強さが表現できます。自然な審美性を得るには、その人の個性を見抜き、仮歯で形態を模索して、それを最終セラミッククラウンに表現していく事が成功のポイントです。
悩み6:前歯の位置方向をセラミッククラウンで治したい
治療のポイント
クラウンにする事で、見栄えの方向をある程度変える事ができる。セラミックの強度、セラミックの色調再現性、歯肉の親和性の問題から。方向を変えるには限界がある。絶対的にポイントは限界を超えない角度補正である。それを見極めは完成度のの高い仮歯を入れて、判断する事である。
角度を変える事で、清掃性や歯にかかる力にも影響がでます。方向を変えて問題がないかを仮歯で確認したかセラミックを入れる事が治療のポイントです。
悩み7:前歯の歯肉の位置が左右で違うのが気になる
治療のポイント
歯肉の位置が違うことで、歯の長さが異なって見えます。それにより、高い審美性を求めると問題となる場合があります。その際には歯肉のレベルをそろえて、歯肉の連続性を回復し、自然観を回復させてあげる必要があります。治療のポイントとしては、どこの歯肉が正しいのかを歯の位置を見極めて、どこの歯肉を下げるのか、上げるのかを決定していく事です。
歯肉を下げるには、歯肉切除もしくは矯正治療がその手段で、 歯肉を上げるには、歯肉移植か矯正治療がその手段となります。
悩み8:差し歯をした歯肉が赤く腫れ、出血する
治療のポイント
差し歯の周りの歯肉に炎症が(発赤、出血)でる原因は2つ。1つ目はプラークコントロールの不良、2つ目は差し歯の形態不良と適合不良です。プラークコントロール(歯ブラシ)する際に大きな圧力をかけると歯肉退縮が起こしますので、やさしく弱圧でのプラークコントロールをして下さい。
クラウンの適合と形態が不良で発赤している場合は、その環境を長期に放置すれば、骨の吸収が起こり、歯肉の退縮を引き起こすので、早期のクラウンやり替えをお勧めします。再度セラミッククラウンを製作する際は、一度しっかりした仮歯をつくり、それで発赤がでないかを確認して最終セラミックを製作していく事がポイントです。
悩み9:前歯がグラつく、歯肉が腫れる、歯周病がある
参考症例 上顎前歯部の重度歯周病部に対して、骨再生手術とセラミッククラウンで対応した症例
治療後8年
治療のポイント
歯周病の治療は歯肉を退縮させて歯周ポケットを少なくする事ですが、前歯が歯肉退縮を起こすと審美性が大きく損なわれます。治療のポイントは審美性を損なわない様に歯周ポケットを失くし、歯周病の進行を止める事です。それをするには、歯を支えている骨を再生させる事ができれば良いです。それができなければ、なるべく歯肉を退縮させないような、低侵襲な処置で歯石などの感染源をとり、メンテナンスクリーニングで歯周ポケットをきれいに保つ事がポイントです。そうする事で、歯間部の歯肉ははい上がってくる傾向にあります。 歯肉を下げる様な外科な処置は慎重に行うべきです。
悩み10:エイジングによる歯の黄ばみがが気になる
治療のポイント
エイジングによる、歯の変色は歯の神経が狭窄する事で、血行不良となり歯の結晶に有色の有機質が入り込ん来ることで起きます。そのため、シニア世代のエイジングによる黄ばみは歯の表面の漂白(ホワイトニング)では効果がでにくいです。本当に、歯の変色を治すのであれば、歯を削りセラミックで色の変色を回復するしかありません。歯を削るので今後の人生の時間軸を考えて治療計画を立てる事がポイントとなります。
悩み11:前歯に入れたセラミッククラウンがかけた
治療のポイント
前歯のセラミッククラウンを壊さずにコンポジットレジンにて接着修復ができます。セラミックにコンポジットレジンという樹脂を接着させるので、どうしても境界部から接着の劣化がおき着色が起きます。コンポジットレジンでのリペアはブリッジなど連結固定してる場合など、セラミックを壊したくない場合に有効です。
悩み12:前歯部歯肉の黒い斑点が気になる
治療のポイント
歯肉にできた黒い斑点の原因は神経の取った歯に入れたメタルの土台(メタルコア)をセットし、その後その土台を削った歳にでる削りカスが歯肉に刺さり、金属のイオンが溶出し黒ずんでしまう事が原因です。メタルタトウーはエルビウムレーザーとマイクロスコープを用いて歯肉内のメタルを除去する事で簡単に改善できます。治療は1回で終わり、1ケ所15~30分程度で終わり、治療費は1ケ所5000円~です。
悩み13:前歯を抜歯したが骨が吸収して審美的に気になる
治療のポイント
骨吸収を起こした抜歯部位に対して骨造成もしくは歯肉移植で対応を取る事ができます。歯肉移植は限度があり、術後の吸収を起こす恐れがあるので、第一選択は骨造成です。骨造成の量は歯肉の厚みや隣の歯の骨の状態に関係し、すべてが完全にできるわけではあり難易度の高い治療法です。抜歯に至るまでの過程で骨を喪失しないようなマネージメントが必要です。
悩み14:変色歯(テトラサイクリン歯)をセラミッククラウンで綺麗に治したい
術前:変色歯に行ったセラミッククラウンをやり返し症例
術後:変色歯の特徴をいれ、前方にいくほど明るいセラミッククラウンにする事で、自然で美しい前歯に仕上がった。
治療のポイント
テトラサイクリン歯は歯の内部の象牙質部の変色です。歯の表層を白くする、ホワイトニングやラミネートベニヤなどの治療法では効果が出にくいです。しっかり効果を出すにはセラミッククラウンで対応する事が多いです。セラミックの色調は他の歯の色調から遠からず、それでいて、白く表現していければベストです。それには歯科医師のみならず、卓越した歯科技工士の技が必要です。またテトラサイクリン歯の修復は神経が取られている事が多いので、しっかり根管治療をする事も長期維持していく上で非常に大切です。
悩み15:メタルポストコアが装着されたセラミッククラウンを綺麗に治したい
症例①術前:前歯4本にメタルポストコアが装着されており、この状態でセラミッククラウン&ブリッジをしていく計画となった。
症例①術後:メタルの色を消すのに不透明で明るいフレームを使い、透明度のあるセラミックを盛って、自然で明るい色を表現した。
症例②:術前の状態 患者は右上前歯の歯肉の黒ずみが気になっていた。
クラウンを外して、形成を終えた状態、メタルポストコアが装着されている
歯肉を明るく見せるために歯肉縁下まで歯を削り込む
症例②:術中 仮歯を装着した状態と最終のジルコニアセラミッククラウン
症例②:術後の状態 ジルコニアセラミッククラウンを装着、歯肉をなるべく明るく表現した
治療のポイント
メタルポストコアが装着が装着されていると、歯根が暗くなる。また時には、歯根がメタルにより変色し黒くなる。この暗さや黒さが歯肉をすけて、くすんで見えるようになる。これを明るく表現するには、不透明で明るいフレームを使い、暗いメタルポストコアを覆い隠す必要があります。そして、それが出来るだけのスペースを確保するためにクリアランス(削除量)を十分に取る事が必要です。
歯肉が暗くなるのはメタルのポストが影響している事よりも歯根の変色が原因であることが多いです。歯根の変色を隠すには限界がありますが、ある程度は審美回復可能です。。