オーバーデンチャー
オーバーデンチャー
オーバーデンチャーの利点・欠点、適応、成功のポイント
インプラント・オーバーデンチャーは、とは
オーバーデンチャーとは、現存した歯やインプラントを入れ歯で覆いかぶせ、それらの歯やインプラントを支持として使う入れ歯の事です。
通常の入れ歯は粘膜で噛む力を支えますが、オーバーデンチャーは入れ歯でありながら、歯やインプラントで支えます。これにより粘膜だけで支える通常の入れ歯よりも支持性が上がり良く噛めるようになるのが最大の利点です。
入れ歯の構造もとてもシンプルなので、長期に使用した際の入れ歯の修理などもしやすいのも臨床で多く使われている理由です。
インプラントを用いたオーバーデンチャーが臨床に多く用いられるようになりました。粘膜で入れ歯を支えるには限界もあり、インプラントを用いて入れ歯を支持する事は、物を噛む能力を上げるとても有効な手段です。
オーバーデンチャーは総入れ歯から、部分入れ歯まで適応範囲は広いです。その患者さんの欠損状態によって入れ歯のデザインをし、設計を立てます。それゆえ、成功の鍵はその設計・デザインです。
オーバーデンチャーの利点
- 入れ歯を支える力が大きい。
⇒噛む力が大きくなり、なんでもよく噛めるようになる。 - 粘膜の負担を軽減できる。
⇒歯槽骨の吸収をおさえて、長期に渡り入れ歯が安定する。 - 総入れ歯の構造なので治療計画がシンプルで見た目もダイナミックに治せる。
⇒治療期間の短縮や治療の確実性が上がる。審美的な回復が容易にできる。 - 構造がシンプルで修理がしやすい。
⇒入れ歯を支えている歯にトラブルがでても入れ歯の修理が容易。 - 入れ歯が取り外しができるので、残存歯へのハブラシがしやすい。
⇒予後に不安がある歯も保存して治療ができる。
オーバーデンチャーの欠点
- 入れ歯を支える力が大きくなり、噛む力が大きくなる。
⇒入れ歯が割れやすくなったり、人工歯が消耗しやすい。対応策としてメタルフレームで入れ歯を補強をしたり、入れ歯の厚みをとるような、大きな噛み合う力に対しての工夫が必要。 - 粘膜の負担が軽減
⇒入れ歯を支える歯やインプラントに負担がかかるので、その負担のバランスをとるような設計・デザインに工夫が必要。 バランスの悪い設計・デザインは入れ歯の動揺や破折につながる。 - 総入れ歯の構造。
⇒入れ歯である違和感はある。清掃の際は入れ歯を外す必要がある。 - 現存歯やインプラントが入れ歯の下にくる。
⇒虫歯のリスクは上がります。毎日の清掃と歯科医院にて定期検診が大切。
参考ページ⇒総入れ歯とその他の治療法
インプラント・オーバーデンチャー症例
インプラントオーバーデンチャーが適応とする方
- 現在、総入れ歯を入れているが、粘膜に入れ歯が食い込み噛めない方。
とくに、下顎の総入れ歯で悩まれている方にはインプラント・オーバーデンチャーがとても喜ばれる治療法です。下顎に2本のインプラントを埋入することで、入れ歯の支えができ飛躍的に噛む能力が向上します。無歯顎症例に下顎に2本インプラントを埋入する設計が、インプラントオーバーデンチャーのゴールデンスタンダードです。(下顎においてはそれ以上のインプラントを入れても満足度に違いはないという報告が多々あります。) - 若くして(30代、40代、50代)にて総入れ歯になった方。
粘膜で支える入れ歯はどうしても骨の吸収を起こします。骨吸収すると、入れ歯は不安定になりやすく、難しい症例になります。今後長期に渡り入れ歯をしていく事を考えると骨の吸収を防止する必要があります。その対応策が、オーバーデンチャーです。
⇒インプラント・オーバーデンチャーは簡単に思われがちですが、インプラント治療の知識の技術、入れ歯制作の技術と経験、その両方の卓越した治療技術を必要とする治療法になります。
歯+インプラントのオーバーデンチャー症例
(歯+インプラントを用いた)オーバーデンチャー治療の成功の鍵
成功の鍵は、(かみ合わせのバランスを考えた)設計・(入れ歯の強度を考えた)デザインです。
入れ歯を歯やインプラントで支えることになるので力のバランスを考えて設計する事が大切です。その設計は現在の状況のみならず、将来の変化まで予測する必要があります。設計をまちがえると入れ歯を不安定な状態にしたり、入れ歯の破壊につながります。
オーバーデンチャーは噛む力が格段と向上するので、入れ歯を補強していくデザインする事が必要不可欠になります。補強するデザインが悪いと、短期間で義歯破折したりします。それと、忘れがちなのが入れ歯の厚みを取ることです。薄い入れ歯は強度に不安がのこります。十分な入れ歯の厚みを確保することで、入れ歯の破折を防止できます。
咬合力のバランスを考えた設計と入れ歯の補強を考えたデザインで安定した何でもよく噛めるオーバーデンチャーができるのです。