夜間のマウスピースの効果
夜間マウスピース(ナイトガード)の効果
①歯のすり減りを防止する(その代りにマウスピースがけずれる)
②歯列をマウスピースで連結固定することで、歯ぎしり中の力を歯列全体に分散させる。それにより、1本の歯にかかる負担を低減し、歯の破折や歯根破折を防止、コンポジットレジンなどの修復物の破損脱離を防止、セラミッククラウンなどの補綴物の破損脱離を防止する
③歯の位置を保定する(時に提示症例のように正中離開を改善する)
④顎関節の負担を軽減する
※マウスピースをしても歯ぎしり、食いしばりはなくなりません。それゆえ、肩こり頭痛なども直接的には治りません。
マウスピースの欠点は装着時の違和感があることです。その違和感から夜間就寝時に知らぬ間に外してしまう方もいます。逆に、使用していくうちに安心感からマウスピースを使用したほうが寝れるという方もいます。
夜間の歯ぎしり食いしばりが全くない方はほとんどいないという報告があります。当院では夜間マウスピースを使用をお勧めしています。特に、歯のすり減りが多い方、多くの歯を治療している方、セラミック修復やコンポジットレジン修復が欠けたり、チップする恐れがある方、歯ぎしりにより歯の動揺が起きている方、歯の破折や歯根破折の恐れがある方は夜間のマウスピースを使用をお勧めします。
夜間マウスピースを入れるようになった患者さんの症例
症例① 前歯のセラミック修復を歯ぎしりから守る目的でマウスピースを入れた症例
歯ぎしりがあるのでマウスピースを夜間就寝時のみ装着してもらった。
この患者さんは上顎前歯6本をセラミック修復を行った。夜間の歯ぎしりがひどくあり、それによりセラミックの破折、破損が危惧されたのでマウスピースを就寝時のみ装着してもらった。
症例② 前歯の隙間が年齢ともに開いてきた症例
マウスピースを入れる前の状態、上顎左右前歯が離開している。
歯ぎしりに対して歯の移動防止と歯のすり減り防止のためにマウスピースを製作
夜間マウスピースを入れる様になり5年経過時、上顎左右前歯部の離開が改善している
この患者さんは、歯ぎしり食いしばりがあり、また前歯に隙間ができたという事で、5年ほど前から就寝時にマウスピースを入れるようになりました。その目的は歯ぎしり、食いしばりによる、歯の移動防止と歯のすり減り防止とです。マウスピースを入れる前の写真と5年後の写真を比べて下さい。上顎左右前歯の移動が防止されているばかりか隙間がなくなり離開が改善し閉鎖してきました。
これは、マウスピースをする事で上顎前歯部への負担が軽減され、歯の本来の位置に戻ったと考えられます。
症例③ 歯ぎしりによる歯のすり減りを防止した症例
歯ぎしりがある事を自分で認識していて、歯のすり減りを防止を目的に夜間にマウスピースを装着
マウスピース装着後6ヶ月の状態。歯ぎしりにより、マウスピースがすり減っている。
マウスピースがすり減る事で歯のすり減りを防止している。
症例④ 下顎前歯の歯列不正悪化を防止した症例
もともと下顎前歯に歯列不正があった。経年的に歯列不正が悪化する事を目的に夜間下顎歯列にマウスピースを装着した。